津金澤先生には宝塚研究、博覧会研究を通じて、ひとかたならず学恩に浴し、お世話になりました。
一二年前から、舞台背景が思うように認知できず、劇場通いが不便になったと、お年賀状にしたためられていて気がかりではありました。
この二月に拙著『宝塚 変容を続ける「日本モダニズム」』の見本を先生にお送りした直後に訃報に接し、衝撃を受け、もはや先生の温かいご指導を受けることがかなわなくなったことが残念でなりません。
思えば、「先生のご贔屓の生徒さんはどなたですか?」と水を向けても、先生は決して宝塚について、生徒についても作品についても、好き嫌いを口になさいませんでした。研究者としての公平さを厳しく自己に課していらしたのだと思います。先生と観劇をご一緒したかったと心残りです。
先生のご冥福をお祈り申し上げます。
(2022年6月22日)