津金澤先生から始まった大阪メディア文化史研究会。ここでの多くの出会いは、私にとって何物にも代えがたい貴重な財産となっています。
初めて研究会に参加させていただいた学生時代。当時の未熟な自分には研究の世界はあまりにも広く深いものに感じられ、まさに「一寸先は闇」といった心境で、不安のなかで手探り状態でした。
そんな自分を受け入れてくださり、私の取るに足らない研究発表にも耳を傾け貴重なアドバイスをくださる津金澤先生を始め、多くの先輩・仲間と出会い、交流を深めていく中で、少しずつ視界が開けていったような気がします。
偉大な先輩である津金澤先生と同じ本(『広告の夜明け-大阪・萬年社コレクション研究』)に執筆者として名前を載せていただいたことは、私の数少ない自慢の一つですが、それ自体、この研究会での出会いがなければあり得なかったわけで、まがりなりにも研究成果を積み重ねてこれたのは、ひとえに先生のお導きによるものと大変感謝しております。
初めて先生とお会いしてから十数年。いまだ未熟であることに何ら変わりはありませんが、それでも一歩を踏み出せるのは、津金澤先生とお会いできたからであり、今後も私の大切な財産であり続けます。
心より先生のご冥福をお祈りいたします。
(2022年5月31日)